集音器や補聴器でも聞こえない人のための最終手段とは

「耳が聞こえづらい」ではなく「まったく聞こえない」という深刻な状態の難聴だと、せっかく集音器や補聴器を購入したとしても、それで聞こえるようになる可能性はかなり低いと言えます。
もっとも、オリーブスマートイヤープラスのような高機能な集音器で、しかもお試し制度がある商品なら、ダメモトで試してみる価値はありますが、そうでない商品は手を出すだけムダ、と言えるでしょう。
では、それほどにまで難聴が深刻な人の場合、何かできる手段はあるのでしょうか?実は、ひとつだけ、最終手段の手術が残っています。
最終手段の手術・人工内耳手術
耳がまったく聞こえない人に対する最終手段の手術となるのが、「人工内耳手術」です。
これは、鼓膜より内側にある、カタツムリのような形をした器官・蝸牛(カギュウ)の内部に、電極を埋め込むという手術です。
そして、人工内耳で音を聞くためには、耳の外側にも、少し大きめの補聴器のような器具(マイク)をつけ、さらに頭部にも丸い器具(送信コイル)をつける必要があります。
マイクから音を取り込んで、それを電気信号に変え、送信コイルから無線で、内耳の電極にその電気信号が伝えられることにより、音が聞こえるようになるという仕組みです。
人工内耳の電極埋め込み手術は、全身麻酔をかけて、耳の後ろを5センチほど切開しておこなわれます。
その後は手術後10日ほどたってから、人工内耳で音を聞くリハビリが開始され、入院期間は数週間程度。退院後もしばらくは人工内耳で音を聞くことに慣れるために、リハビリに通う必要があります。
人工内耳手術をすれば本当に聞こえる?
さて、ここで気になるのが「人工内耳手術をすれば、全然聞こえなかった人でもバッチリ聞こえるようになるのか」ということですが、残念ながら、そこまで万能な手術ではありません。
はじめて人工内耳での音を聞いた人は「今まで聞いていた音とまったく違う」「人間の声が人工的なロボットの声のように聞こえる」などと感じます。
また、電気信号を人工的な機器に送るという形での「音の情報伝達」は、正常な耳の働きと比べると非常に情報伝達量が少ないので、聞き取りレベルも健聴者よりはるかに低いレベルとなってしまいます。
この情報伝達量の少なさの影響で「1対1でゆっくり話してもらえるような会話ならこなせるけど、何人かにしゃべられるとすべてが雑音のように聞こえて話がまるで分からなくなってしまう」「どの方向から話しかけられてるのか、よく分からない」などといった困りごとも出てくるのが現実です。
ですから人工内耳手術というのは、完全に聴力を取り戻せる魔法の手術ではない、ということですね。「まったく聞こえない状態から、軽度~中度レベルの難聴に改善される」という感じです。
ただ、人工内耳機器の改良もどんどん進んでいますので、いずれは「自然な感じで聞こえのいい人工内耳」ができるようになるかもしれません。